土壌汚染調査・浄化 株式会社アイ・エス・ソリューション

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発表論文

ダイレクトプッシュテクノロジーを使用した詳細調査および浄化設計

(著作者)
  • 安原雅子1
  • 小林裕一1
  • 佐藤秀之2
  • 山内仁1
  • 1株式会社アイ・エス・ソリューション
  • 2株式会社ランドコンシェルジュ

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1.はじめに

ダイレクトプッシュテクノロジー(DPT:Direct Push Technology)とは、特殊なロッドを地中に挿入して土壌や地下水中の様々なデータを効果的にまた短時間に測定することができる技術の総称である。地盤環境調査分野でも土壌や地下水中のデータをリアルタイムに測定することができるダイレクトセンシング技術を中心に活用されている1), 2), 3)

今回筆者らが使用した膜界面サンプリング分析法(MIP:Membrane Interface Probe)もDPTの一つである。プローブの先端に土壌中の揮発性有機化合物(VOCs)を取り込む膜と電気伝導率(EC:Electric Conductivity)を測定するための電極が設置されている。特長は深度方向のVOCsおよび電気伝導率を測定することにより、汚染状況および地質状況の概要をリアルタイムで取得できることである。汚染状況を現場で把握することにより、評価やまとめの作業効率を上げ、時間の節約、コスト削減が可能になる。

海外では活用事例が多く、測定結果のまとめや評価においてもデジタルマッピングや、三次元表示を作成して評価を行うなど、デジタルデータの特長を活かして利用されている4)。一方、国内でも事例が発表されているが、広く活用されている状況ではない5), 6), 7)

本稿では、MIPを使用した試験調査を行い、原位置浄化設計や施工方法を検討する上で有効なデータ取得が可能であることを確認し、検討、考察について報告する。

2.サイトの概要

今回の試験調査を実施したサイトはガソリンスタンド跡地(更地)で、過去に地下タンク、地下配管、計量機等の施設が存在していた。地質状況の概要は地表~深度1.5mは礫混じり粘性土の埋土、深度1.5m~3.0mは黒ボク土または凝灰質シルト、深度3.0m~6.0mは砂礫で構成されている。地下水位は深度約3.6mである。土壌にベンゼンおよび油分による汚染が異なる深度で認められ、地下水にベンゼン汚染が認められた。

3.調査方法

図-1にMIP調査地点を示す。試験調査は浄化対象となるエリア内で実施した。既存のボーリング調査地点(B1、B2、B3)付近にMIP調査地点を2mピッチで9地点配置した。B1、B2、B3のベンゼンの公定法分析結果は図-1に示すとおりである。

MIPの地中への挿入は打撃式ボーリング機械を使用した。プローブ中にVOCsを取り込むため、ゆっくりとした一定速度での挿入が理想である。しかし、実際には軟質な地盤と礫などの地盤で挿入速度に違いが生じるため、深度0.5mごとに1分間静止して測定を行った。プローブに取り込まれたVOCsをキャリアガス(窒素)により地上に送り、PID検出器(PIDランプ10.6eV)でVOCsを測定した。

作業時間は、機材の接続、システム確認に1時間、1地点に要する時間は、打ち込み開始から次の調査地点に移動するまでの時間を含め約30分、機材等の後片付けに1時間を要した。

4.調査結果

今回の調査結果を下記に示す。

EC測定結果から、全体的に深度1.5m~3.0m間のピークが高く、深度3.0m以深は比較的低いピークを示した。これは前者が粘性土、後者が砂質土であることを示しており、ボーリングコアから確認した地質概要と合致している。

PID測定結果からは、No.1、2、4、6、8、9で深度2.0m~2.5m間に高いピークが認められる。その内、No.1、2、4、9では深度2.0mをわずかに過ぎてからピークが高くなり、深度3.0m手前でピークが低くなっている(図-2の赤丸)。

No.1、No.3、No.9では深度4.0m~深度5.0mで高いピークが存在する(図-2の赤丸)。

図-3の深度1.0mごとのPID測定値のコンターからは、No.6の深度2.0m、No.3およびNo.9の深度5.0mで高い測定値を示している。

5.結果の考察

サイトごとで公定法による分析結果とMIP測定結果の相関を取ることにより、より正確なサイト評価が可能になる。今回の試験調査では、B1、B2、B3地点でMIPの測定を実施する必要があった。

B1、B2、B3の公定法による土壌分析結果からは、深度4.0m以外ではベンゼンの土壌溶出量は基準適合であるが、深度2.0m~2.5mや深度4.0m~5.0mの分析を実施していない深度にも高濃度のVOCs汚染が存在する可能性がある。

このように既に確認した深度間に汚染がある疑いが生じた場合、通常の調査では汚染状況が不明なまま追加分析を実施している。MIPの調査地点においても、汚染の有無を判定するには公定法での確認が必要となるが、PID測定結果から公定法で確認が必要な地点および深度を選択することができ、余分な分析費、時間を節約できる。

作業性について、打撃式ボーリング機械で深度5.0mのオールコアボーリングを9地点行い土壌試料採取する場合と比較すると、MIPによる測定の作業性は半分程度の時間で地質構造の概要、汚染状況を把握することができる。連続した深度方向のデータにより、深度方向の汚染の見逃しがなくなり、より多くの調査地点でデータを取得することにより、より詳細なサイト情報を把握することができる。

詳細なサイト情報は、原位置浄化設計および施工において、サイトに適した浄化範囲や浄化深度、薬剤注入地点の間隔、薬剤注入量等の検討をする上の判断材料となる。また、浄化経過を確認するためのツールとしても利用できると考える。

6.課題

今後の課題を下記に示す。

MIPプローブの挿入には高温を保ったまま一定の速度で挿入するのが理想であるが、実際には地質状況により変化する。更に、掘進中または地下水に接した時にプローブの温度が少なからず低下した。細かい深度間隔でプローブを静止させ、静止する時間を調整することにより、VOCsの採取時の環境の違いによる誤差を少なくすることが可能であるが、それらの調整には様々なサイトでの使用経験とデータとの検証が必要である。

MIPで取得したデータを図-2や図-3のようなグラフや濃度分布図にして評価をした。データの解析方法を変えることで様々な視点からサイトを評価できる。MIPから取得したデジタルデータを活かす解析方法について検討したい。

MIPを含むダイレクトプッシュテクノロジーが地盤環境調査分野においてどのようにその特性を活用できるのか事例を増やしていきたい。

7.参考文献等

1)

中島誠(2009):CPTの地盤環境分野への展開, 地盤工学会誌, 57巻8号, pp.12-15

2)

Sato, H., Mitsuhata, Y., Takagi, K. (2009):Direct Sensing Systems in Subsurface Investigation, Proceedings of the 9th SEGJ International Symposium.

3)

佐藤秀之、Christy, T., Pipp, D.(2010):ダイレクトセンシング技術の評価と精度向上へのアプローチ, 第16回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集, pp.467~472

4)

Kincaid, T., Day, K., Lamb, R.(2009):3D Solids & Parameter Modeling to Facilitate Triad-Compliant Rapid Site Characterization

5)

山野賢一, 吉村雅仁, 千田善秋, 菊池達也(2005):原位置センシング技術導入のための基礎的研究, 第11回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集, pp.632~636

6)

高木一成, 深田園子(2006):ダイレクトセンシング技術を使用した油汚染の分布調査, 土と基礎

7)

安原雅子, 山内仁, 中間哲志, 今村幸則, 田中正利, 佐藤秀之(2006):膜界面サンプリング分析法によるベンゼン・油汚染地の評価と原位置浄化設計への適用、第12回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集

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