土壌汚染調査・浄化 株式会社アイ・エス・ソリューション

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発表論文

ガソリンスタンド等ベンゼン汚染サイトにおける浄化対策の濃度管理手法

(著作者)
  • 長野勝己
  • 大澤武彦
  • 中間哲志
  • 山内 仁
  • 株式会社アイ・エス・ソリューション

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1.はじめに

運営中のガソリンスタンドにおける浄化対策のニーズが増加する中で、化学酸化法(フェントン反応剤による原位置注入法)を用いた浄化対策はこれまで数多くのサイトで適用され、浄化の実績をあげている。

運営中のガソリンスタンドにおける浄化対策では、比較的作業エリアを要しないフェントン反応剤による原位置注入法でも所轄の消防署の指導により、計量機の一部を休止したり、洗車機が使用中止したりする等、工事期間はガソリンスタンドの運営に支障を来たす場合が多い。そこで筆者らは運営中のガソリンスタンドにおける土壌、地下水ベンゼン汚染の浄化対策を実施する上で、PID ガスモニターを用いたベンゼンの簡易分析による濃度管理を取り入れ、浄化の状況を迅速かつ正確に判断し浄化対策を短期間に行う事により、極力運営店に負担がかからないように浄化作業を行ってきた。また、ベンゼンの簡易分析を日常管理に取り入れ、各地点(フェントン反応剤の注入井や観測井)のベンゼン濃度変化を把握する事により、新たな汚染源あるいは漏洩の発 見や効率的な浄化対策が可能となった。

本論では、筆者らが実際のサイトで実施したベンゼンの簡易分析による濃度管理事例を紹介する。さらに簡易分析と公定分析との相関をとったのでこれを報告する。

2.簡易分析によるベンゼン濃度管理の方法

2.1 使用機器

ベンゼンの簡易分析は、PID ガスモニター(RAE社製『Ultra RAE〔ウルトラレイ〕』)を用いた。主な特徴として、①光イオン検出器(PID)と内臓フィルターチューブを一体化したガスモニターで操作が簡単である、②ベンゼンガスの分解能は0.1ppm で、高濃度のトルエン等に対して相互干渉性がある、③海外において、環境汚染監視やガソリンスタンド跡地等の土壌調査ベンゼン測定で多くの使用実績がある、等である。

2.2 測定方法

2.2.1 地下水サンプル

地下水サンプルは以下の手順で簡易分析した。

①内容積500ml のねじ口ガラス瓶に試料水を200ml 採取し、密栓後1分間振とうする。

②ねじ口ガラス瓶の栓をはずし、PID ガスモニターにてガス濃度を読み取る。(写真①)

2.2.2 土壌サンプル

土壌サンプルは以下の手順で簡易分析した。

①内容積500ml のねじ口ガラス瓶にあらかじめ200ml の清水を入れておく。

②土壌試料を20g 入れて、1分間振とうする。

③ねじ口ガラス瓶の栓をはずし、PID ガスモニターにてガス濃度を読み取る。

2.3 従来法と簡易分析による濃度管理手法

浄化終了判定は、土壌サンプルや地下水サンプルによる計量証明事業所の公定分析によって判断されるのが基本であり、通常、公定分析結果が得られるまで7日間から10日間の期間を要する。工期が十分にあり、ガソリンスタンドの運営に支障がないサイトでは特に問題にはならないが、施設の一部を占有してしまうサイトや所轄の消防署の指導により計量機の一部を休止するサイトでは運営が制限されるという問題を伴う場合が多い。そこで、ベンゼンの簡易分析による濃度管理を取り入れ、浄化の可否を迅速かつ正確に判断することで、この問題を解決する事が出来る。浄化対策終了までの濃度管理の流れを図-1 に示す。

2.4 濃度管理の実施例

ガソリンスタンドにおけるフェントン反応剤の原位置注入を実施したサイトで、ベンゼンの簡易分析を用いて濃度管理を行ったのでこれを紹介する。

2.4.1 実施例(その1)

このサイトは、事前調査の段階で汚染源と想定されていた測点1に対しフェントン反応剤を注入し、各注入段階の濃度管理として簡易分析を行った事例である。簡易分析項目は、地下水のベンゼン濃度とした。図-2 に示すとおり、注入工事1回目が終了し、注入工事2回目の時点では、測点1のベンゼンガス濃度が上昇していた。その後、周辺に注入井を増設し、ガス濃度を随時測定した結果、測点1より約5倍程度の高濃度地点(測点2)が確認され、次の注入工事3回目では測点2を重点的に注入した。その結果、測点2の濃度低下に伴い、測点1も同様に濃度低下が確認でき、注入工事4回目では測点1の環境基準以下を確認した。

この現場では、ベンゼンガスモニターによる簡易分析を観測井や注入井の地下水ベンゼン濃度測定に取り入れ、新たな汚染源を発見でき、効率的な浄化工事が可能となった。

2.4.2 実施例(その2)

次に紹介するサイトは、浄化対策中の日常管理として簡易分析を行った事例である。簡易分析項目は、地下水のベンゼン濃度とした。図-3 にベンゼンガスの濃度変化を示す。同図からわかるように測定回数3回目までは順調に濃度低下を確認した。

しかし、4回目にほぼ初期値に近い濃度まで上昇し、周辺に新たな汚染源となる地点がない事から安全面に配慮し、一旦注入作業を中止した。その後、給油設備からの漏洩がないことを確認し、上昇の原因を明確にした上で、注入井を増設する等の対策を講じてフェントン反応剤による原位置浄化を再開した。

このケースは、運営中の浄化作業を実施するに当たり、最も優先される安全管理を行う上でも、ベンゼンガスモニターによる簡易分析が役に立った例である。

3.公定法との相関

地下水ベンゼン濃度に関して、これまで測定したPID ガスモニター(Ultra RAE)による簡易分析の結果と同一のサンプルによる公定分析による分析結果との関係を調べた結果、有意な関係が認められた。図-4 に簡易分析によるベンゼンガス濃度~公定分析による地下水ベンゼン濃度の相関関係を示す。

同図から次の事がいえる。

相関関係式は、y=31.351ⅹ+0.3645 となり、相関係数は r=0.992 と高い相関性が確認された。

ベンゼンガスモニターの簡易分析による濃度管理を実施していく上で、地下水ベンゼン濃度の環境基準(0.01mg/l 以下)を満足するためには、ベンゼンガスモニターにて検出しない事(検出下限値は0.1ppm)が条件である事が確認できた。

従って、日常の濃度管理や安全管理として、簡易分析結果から公定分析結果を推定できる点で大変有意義である。ただし、簡易に推定できる一方で、それなりの知見や取り扱い上の注意が必要である。以下に、留意点を示す。

測定サンプルにベンゼン以外の干渉物質が多く含まれ、ベンゼンチューブ内の吸着物質にてろ過しきれない場合は正確なベンゼン濃度を測定できないので、ベンゼンチューブの管理が重要となる。

測定サンプルの温度(地下水の温度等)が高い場合には通常より高い濃度を示す傾向があるので、一定温度にて測定を行う事が必要である。

4.おわりに

過去の負の遺産である土壌・地下水汚染に対する社会的な関心が依然高い現在、社会的責任の履行や法令順守を目的としたガソリンスタンドにおける浄化対策が増加している。一般的な工場などと違い、ガソリンスタンドの大半において定期休業がなく、運営中の浄化が必要条件となる場合が多い。作業エリアの確保や所轄の消防署の指導により、運営中に浄化対策を実施する場合は、計量機等の休止を余儀なくされ、運営店にとって営業に支障をきたす場合が多い。これまで述べてきた通り、運営店の負担を低減させるためには、短期間での効率の良い浄化が専門業者としての責務であると考え、筆者らはベンゼン汚染サイトにてPID ガスモニターの簡易分析を日常管理に取り入れる等、日々努力している。

その結果、工期の短縮や効率的な浄化作業に繋がり、さらに安全管理上においても重要なプロセスである事を再認識した。また、公定分析結果との高い相関関係が確認された事により、現場における大まかなベンゼン濃度の把握が可能となった。

今後は、運営中のガソリンスタンドによる浄化対策に対し、安全管理を最優先し、更なる浄化効率を高めるために、より迅速で正確な濃度管理手法の向上を目指したい。

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