土壌汚染調査・浄化 株式会社アイ・エス・ソリューション

株式会社エンバイオ・ホールディングス(東証マザーズ:6092)グループ

お問い合わせ 03-5297-7288 引合~見積・提案書5日で提出します。

メールでのお問い合わせはこちら

発表論文

ガソリンスタンドの土壌汚染スクリーニングにおける土壌ガス調査の有効性

(著作者)
  • 安原雅子1
  • 山内仁1
  • 中間哲志1
  • 草場周作1
  • 吉田英智2
  • 中村太郎2
  • 1株式会社アイ・エス・ソリューション
  • 2株式会社エル・シー・エー

PDFダウンロード

1.はじめに

環境維持活動、所有権の移転および廃止に伴うガソリンスタンドを対象とした土壌汚染調査を行う事例が増加している。ガソリンスタンドで土壌汚染調査を行う場合の評価物質はガソリン中に含まれているベンゼンの他に油分(油分の分析は四塩化炭素抽出-赤外吸光光度法、n-ヘキサン-重量法、二硫化炭素抽出-GC・FID 法などで行っている)を対象とする場合が一般的である。また、調査の方法はボーリング調査の他に初期段階にいわゆるスクリーニング調査として土壌汚染対策法に示された土壌ガス調査を行う場合が多くなっている。本論では土壌ガス調査による油分による土壌汚染(ここで土壌汚染とはガソリンスタンドの事業活動に伴うガソリンや軽油などの土壌への漏洩を指す)評価の有効性について検討を行ったので報告する。

2.ガソリンスタンドを対象とした土壌ガス調査の方法

ガソリンスタンドの土壌汚染スクリーニングのための土壌ガス調査は、環境省告示第16 号(平成15年3月6日)に準拠して実施している(表2-1 参照)。調査地点の設定は、対象地を土壌汚染対策法に示された「汚染のおそれがある土地」と分類して単位区画内に1 調査地点を標準とし、汚染の存在する可能性が高い地点:地下タンク、埋設配管、ガソリン計量機、油水分離槽などに近接する位置としている。

3.土壌ガス測定結果の検討

ガソリンスタンドで行った土壌ガス測定結果を用い、土壌ガス中のベンゼンとその他の成分(ガソリン・軽油・キシレン・トルエン)や土壌ガス測定結果と土壌中の油分含有量との関係の検討を行った。

なお、PID-GC のピークで分類した油分の種類とは、土壌ガス調査でベンゼンが検出された検体を対象として、PID-GC のピーク値によりベンゼン及びガソリン・軽油成分有り、ピーク無(ベンゼン、ガソリン・軽油の成分検出なし)に分類したものである。また、油分の分析は四塩化炭素抽出-赤外吸光光度法によって行った。

土壌ガス中のベンゼンとその他の成分(ガソリン・軽油・キシレン・トルエン)の関係を調べるにあたり、市販されているレギュラーガソリンと軽油を標準物質としてヘッドスペースガスでPID-GC による土壌ガス分析を行い、これを油分の種類を分類するための基礎資料とした。図3-1 にレギュラーガソリンのヘッドスペースガス、図3-2 に軽油のヘッドスペースガスのPID-GC 分析結果をそれぞれ示す。また、実サイトでの測定結果を図3-3(ガソリン成分が多い測定結果として)及び図3-4(軽油成分が多い測定結果として)に示した。

(1) 標準物質と実サイト測定結果との相違点や特徴

ガソリンスタンドで取り扱われている燃料油中にはベンゼンの他、トルエンやキシレンが含有されている(表3-1)。この組成を反映して、標準物質の測定結果では、レギュラーガソリンでは保持時間がベンゼンより短い炭化水素に由来するピークの他にトルエンのピークが明瞭に認められる(図3-1 参照)。一方、軽油では保持時間がキシレン相当(3 分~6 分)の炭化水素に由来するピークが多いのが特徴といえる(図3-2 参照)。

実サイトの土壌ガス測定結果もベンゼンが単独で認められることは少なく、ベンゼンを検出した検体の約97%はガソリン・軽油成分、トルエン及びキシレンも検出している(図3-3、3-5 参照)。また、軽油成分を多く含む測定結果では標準物質より保持時間が長いピークが増加する特徴がある(図3-4 参照)。

図3-6 には全測定値に占めるベンゼンの検出検体数とガソリン・軽油成分・トルエン・キシレンの検出検体数を示している。ベンゼンを検出した検体は全体の約28%であったのに対して、ガソリン・軽油成分・トルエン・キシレンの検出検体は約52%であった。したがって、ガソリン・軽油成分・トルエン・キシレンを指標とした方が感度良くガソリンの漏洩を検知できるといえる。

(2) 土壌ガス調査結果と土壌中の油分含有量の関係

図3-7 に土壌ガス分析結果から読み取れたガソリンや軽油成分の有無と土壌中の油分含有量との関係を示した。油分濃度が20mg/kg 未満の地点ではガソリンや軽油成分の検出が認められた地点は全体の約20%であった。

一方、100mg/kg 以上―1000mg/kg 未満や1000mg/kg 以上―10000mg/kg 未満の地点では約50%の地点でガソリンや軽油成分の検出があった。したがって、土壌ガス中にガソリン成分や軽油成分の検出が合った場合には土壌中の油分濃度は相対的に高くなっている場合が多いといえる(図3-8)。

ベンゼンの土壌ガス濃度と土壌中の油分含有量の関係を図3-9 及び図3-10 に示した。ベンゼンの土壌ガスと土壌中の油分濃度の関係も、土壌ガスが検出された地点では土壌中の油分濃度も相対的に高くなっているといえる。

4.土壌ガス調査の有効性

ガソリン漏洩検知を目的として土壌汚染対策法に示された土壌ガス調査を実施する場合には、ベンゼンよりもトルエンや直鎖炭化水素類のピークの方が良い指標になっているといえる。今後はガソリンの低ベンゼン化が進むものと予想されることから、ガソリンスタンドでの土壌ガス調査実施にあたってはトルエンや直鎖炭化水素類の評価がより重要性を増すであろう。

ベンゼン、トルエンや直鎖炭化水素類を土壌ガス中に検出した地点では土壌の油分濃度は相対的に高くなっており、検出した地点の50%で土壌の油分濃度が1000mg/kg を超過していた。したがって、土壌ガス調査はガソリンスタンドでの油分による土壌汚染のスクリーニング調査として有効な手法と判断することができる。

しかしながら、これら指標物質を検出しなかった地点においても約30%の地点で土壌の油分濃度が1000mg/kgを超過していたことから、土壌ガス調査で総ての油分による土壌汚染を把握することは困難であることも判明した。ガソリンスタンドを対象としたより精度の高い土壌汚染スクリーニング調査を行うためには、対象地の履歴や施設構造を勘案してボーリング調査を併用して実施することが重要である。

5.おわりに

ガソリンスタンドの登録件数は2003年度末には約5万箇所余りと10年前に比べて1万箇所減少している(2)。ガソリンスタンドを廃止する際には、東京都などでは条例によって調査結果の届出を義務付けているが、法律や条例の適用対象外の土地においても環境への意識の高まりや土地売買時の売買契約に土壌汚染の条項が記載されることが多くなっていることから、油分を含めた土壌汚染調査の需要は増加している。

ガソリンスタンドの事業活動による土壌汚染の調査の特徴としては、評価対象物質は油分の他にガソリンや軽油・灯油中に含まれている有害物質に限定されることから、他の製造業の工場と比較して評価対象物質の絞込みは簡潔で妥当性が高いといえる。一方、ガソリンスタンドには比較的狭い敷地の中に様々な配管やタンクが埋設されていることから、埋設管や地下タンクの破損防止は調査実施に当たり重要な課題である。特に稼動中のガソリンスタンドでは汚染の存在する可能性が高い施設直下や近傍には試料採取孔の掘削ができない場合がある。

このような中、土壌ガス調査は比較的広い範囲を対象として油分の漏洩の有無の評価が出来、また、掘削する試料採取孔もボーリング調査に比べると小口径であることから埋設管の破損に対する危険性も小さく、ガソリンスタンド対象とした土壌汚染スクリーニング調査手法としては効果的といえる。今後は土壌ガス調査などの土壌汚染対策法や各地の条例に示された調査手法の他に、現地での簡易分析方法や原位置測定機器を組み合わせることにより、より安全で効果的なスクリーニング調査手法を開発してゆきたい。

[参考文献]

1)

社団法人化学工学会.平成13 年度化学物質国際規制対策推進等(PRTR 算出マニュアル)調査報告 化学物質排出量等算出マニュアル.
2005 変更版.(オンライン).入手先 独立行政法人製品評価技術基礎機構 http://www.prtr.nite.go.jp/prtr/pdf/koumanu/manu1z.pdf, (入手 2005-04-14)

2)

資源環境対策. 石油販売業界における土壌汚染対策. (株)環境コミュニケーションズ. 2005 年4 月(P66-70)

  • 発表論文一覧
  • 実績
  • 会社情報

お問い合わせ

相見積のお問い合わせもお気軽に。セカンドオピニオンとしてもご活用ください。TEL:03-5297-7288

お問い合わせ

スタッフ紹介

採用情報